余市川2

http://d.hatena.ne.jp/kawauso999/20090926 の続き


漕ぎ出す。秋は水量が少ないが水質がいいし、水温が高い。


自然の岩は水流をはじくので、カヌーも流れと一緒に一緒にはじかれる。岩に激突、ということはあまりない。
しかし、テトラポットは濾し網のように水を通すが、人間や船は通さない。
一度引っかかると、後ろから押す水とテトラに挟まれて身動きがとれなくなる。
この写真程度の流れでは危険を感じることはないけれど、初心者は貼りつきに注意。


陽光が水面に反射している。
夏に上半身裸で下ると、普段は陽に当たらないわきの下まで日焼けする。



1キロほど下ると、頭首工が見えてくる。
解放されていればくぐって抜けられるが、今回は閉まっていた。


流れないように艇を固定して上陸。
川では常に上流から押されるので、危険に気づいてももう戻れない、ということもありうる。
簡単な川でも上陸して下見、はしておきたい。
艇につけるロープは水に浮くものを。


この程度の落差であればそのまま下ってしまえそうではあるが、人工物は危険なので回避することにした。安全第一。
一度川から上がって、荷物と艇を陸上を歩いて運ぶことを、ポーテージという。


左岸(上流から見て左側)に、堰を避けて下流まで歩ける踏み跡を発見。


トゲのある木が多いので注意。
ゴム艇に刺さったら穴があきそうなくらい鋭い。もちろん、人間に刺さっても痛いだろう。
ニセアカシアかな?


踏み跡は一旦、車が通れるくらいに広くなるが、また草藪に分け入る。


頭首工を越えるとすぐに鉄橋。


鉄橋の真下にはコンクリートブロックの落ち込みがある。
春の増水期にはここを艇で下ることもあるけれど、この水量では無理。
左岸をポーテージした。ブロックの上を歩けたので楽だった。


鉄橋下は広いプールになっている。写真に写っていない右側にもほぼ静水が広がっている。
初心者はここを出艇地にして、下り始める前にまず練習して慣れる、ということをしてもいいだろう。
ただし増水時は注意。写真に写っている部分の川原が水没しているくらいに水が多い。
逆に、春の増水時期にはこのプールにも流れや渦があり、その渦に巻かれながら潜って泳ぐのが楽しい。
水深は3〜4メートルほどになるだろうか。泳いでいる体の頭のほうと足のほうがそれぞれ別の流れにつかまると、何か生き物と戯れているような感覚を楽しめる。水底の石にしがみついて数分、水面を見上げるのもおすすめ。


鉄橋を過ぎると少しづつ鮭が増えてきた。
下の写真は艇のすぐそばで跳ねる鮭。鱗がはげた部分が白く見える。
ボロボロになりつつも産卵のために溯上する鮭に感動する。
しかも、ここまで登った鮭たちは、後述するあの関門を突破してきたのだから。


川底には死体も。ホッチャレと呼んでいる。
(死体だけでなく生きているものもホッチャレ。産卵のために川に入りボロボロになったものを指す。)


死体アップ
目玉がないし、傷だらけなのがわかる。それでもこれは、まだきれいな死体のひとつ。
無事に産卵を終えることができたのだろうか。
又は、途中で力尽きて息絶えたのだろうか。前者であってほしい。
密猟者に卵だけとられて後は捨てられたその死体ではないことを願ってしまう。
川底の鮭の死体ひとつひとつに感情移入してしまうのは、ぼくがちょくちょく川で泳いでいることもあるし、菜食者であることも関係しているかもしれない。
筋子やバラコや鮭鍋やムニエルを食べる人とはまた、ちょっとちがった感じ方をしているはずだ。
鮭について思うことは、「http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20090926」のことも踏まえて、また別に書こう。




つづく →http://d.hatena.ne.jp/kawauso999/20090928


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