青森マダラ漁休止 困惑「いつまで…」 セシウム基準値超え、冬の味覚ピンチ(gooニュース)

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20120917083.html

2012年9月17日(月)08:05
(産経新聞)
 鍋料理などに最適な冬の味覚として知られる青森県沖の「マダラ」から、国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超す放射性セシウムが検出されて出荷停止となり、地元漁業関係者に不安が広がっている。福島県沖で高濃度のセシウムを含むエサを食べたマダラが300キロ以上も北上した可能性が指摘されるなか、出荷停止がいつまで続くか不透明だ。青森県は全国有数の漁獲高を誇るだけに関係者は困惑の色を隠せない。

 基準値超えが相次いだのは八戸市沖で漁獲されたマダラ。6月に同116ベクレル、8月に同132・7ベクレルを相次いで検出し、同月27日に出荷停止となった。

 福島第1原発事故のあった福島県から近い茨城県ではイシガレイやスズキなど6種、宮城県ではヒラメ、スズキなど5種の海の魚が現在、国から出荷停止を指示されている。しかし、同原発から約350キロも離れた青森県産の農水産物では、これまで出荷停止に至るケースはなかった。

 青森県のマダラの水揚げ額は約14億円(昨年)にのぼる。漁は11月ごろに最盛期を迎え、出荷停止が長期化すれば、漁業者らの経営を直撃するのは確実だ。

 「このまま漁に出られなければ、生活が成り立たなくなる」。八戸みなと漁業協同組合(八戸市)の担当者は多くの地元漁業者が置かれた窮状を訴える。


組合員にとってマダラ漁は9月から翌年6月ごろまで、生計を支える重要な柱となる。他の魚種だけでは「到底、採算はとれない」と話す。

 風評被害を懸念する声も高まっている。ある漁業関係者は「少しでも早く規制を解除してほしいが、出荷停止や解除が繰り返されて消費者の不安につながることは絶対に避けたい」と苦しい胸の内を明かす。青森県の担当者も「消費者に安全性を認めてもらうには、(定期的に行っている)検査結果を慎重に見極めていく必要がある」と話す。

 ただ、青森県で水揚げされた魚種の放射線の数値が全体的に上がっているわけではない。4月以降、マダラ以外の魚種は大半が検出限界以下だ。

 マダラだけに高濃度のセシウムが検出された理由について、独立行政法人水産総合研究センター」(横浜市)は長距離を移動してきた可能性を指摘する。

 マダラは水深200〜400メートルに生息し、例年1月から春先にかけて仙台湾から福島県沿岸で産卵するという。「福島県沖付近で高濃度の放射性セシウムを含むエサを摂取した一部のマダラが北上したのでは」と担当者は推測している。