黒猫死んでいた
交通量の少ない市外の道路上で、黒猫が死んで硬くなっていた。
かわいそうにと思うのと同時に、既に死んでいてよかった、とも思った。
もし生きていたら、病院に連れて行ったり手当てをしたりするけれど、うちには激しい猫アレルギー持ちがいるから面倒を見てあげられない。
かといって、道路上で横たわっている猫を放って置くことが出来ずに車を停めて降りてしまったので、それで死んでいたことに安堵した。
この猫を車で当てて殺した人は、どんな気持ちでこの猫を放置して去って行ったのだろう?
道路脇の立ち枯れた草の間に猫であった物体を移して、僕も去ってきた。
また車に轢かれることはないだろう。カラスかキツネが死体をつつくだろう。土に還るだろう。